電力自由化が始まった理由 自由化の裏側にある背景やその市場規模とは

1.電力の小売全面自由化
2022.02.15

2016年4月に始まった電力の小売全面自由化によって、これまでは地域の大手電力会社(旧一般電気事業者)から購入するしかなかった電気を、すべての需要家が自由に電力会社を選んで契約することができるようになりました。前回の記事の通り、これまであった電気事業法の改正を繰り返し、約20年という年月をかけてやっと実現されています。
しかし、これまで長年の間、特定の事業者が独占状態を続けていた電力事業を自由化した目的は分からないという方も多いのではないでしょうか?そこで今回は、電力自由化が始まった目的について見ていきましょう。

電力の自由化が始まった目的

では、どうして電力自由化が進められてきたのでしょうか?主な目的として2つ挙げられます。

◆電気料金を抑える

自由化が行われた1番の理由としては、電気料金を安くするという点が挙げられます。元々、電力の供給や販売は地域ごとに大手の電力会社が行っていたため、価格競争等は一切なく、比較的高い電気料金を支払わなければいけませんでした。しかし、電力の小売りを自由化にすることによって、多くの企業が電気事業に参入します。そうするとたくさんの選択肢の中から需要家が自由に選ぶことができるようになるため、他社よりも価格を安くしようと競争が起こります。結果、私たちが支払う電気料金が安くなるという点が大きなメリットになります。

◆企業の事業拡大につながる

電力事業はとても大きい市場です。その上、電気は事業や生活に欠かせないエネルギーとなっており、一度契約をすれば継続した収益をあげることができます。そのため、電力自由化に伴い多くの企業が電気事業に参入しています。実際に通信事業会社が自社回線とセットにしたり、ガス会社がガスと電気のセット料金を用意したりと、各社独自のサービスが多く生まれています。
しかしその反面、いままで電力に携わっていなかった企業が新規にこの新電力事業を始める場合も多くあり、電力に関する知識や体制が整っていない会社も少なからず存在するのが事実です。送配電は基本的に地域の大手電力会社が担っていますので、停電や設備の保守点検などはどの電力会社に変更しても問題ありませんが、私たち需要家は、安心して適正な電気料金を支払い使い続けられるよう電力会社を見極めていく必要があります。

電力の市場規模と今後

電力自由化が開始されてから、多くの企業が電力事業に参入してきています。そして先ほどその市場規模も大きいとお伝えしました。そこで、どれ程の規模があるのか、そして今後はどのような成長が期待されているのか、それぞれ見ていきましょう。

◆市場規模は20兆円

電力事業の市場規模はなんと20兆円を超えています(2020年~2021年の主要対象企業12社の合計売上高)。これは建設業やIT業などを上回る水準で、日本の業界規模トップ20に入るほどの売上高です。
販売電力量でみると、特別高圧196.0億kWh・高圧279.8億kWh・低圧278.4億kWh(電力・ガス取引監視等委員会 令和3年8月分電力取引の状況より)となっています。最後に自由化の対象となった低圧部門も全体の約37%を占めています。特別高圧・高圧に比べると1契約当たりの販売電力量は少ないですが契約数が圧倒的に多く、この低圧部門でも多くの顧客を獲得しようと多くの企業がしのぎを削っています。今後もさまざまな料金形態やオプションセットプランなどが登場し、電力自由化の制度がますます活発化していく部門となるでしょう。

◆電気はこれからも重要なエネルギー

これからの電力市場はどのような道を辿るのでしょうか。
世界的に脱炭素が推進されており、電気はガスやガソリンなどに代わるエネルギーとして重要視されています。オール電化や電気自動車の更なる普及など、さらに生活に密着したエネルギーになっていくでしょう。電気自動車に関しては、イギリスでは2030年までにガソリン車とディーゼル車の新車販売を禁止することが決まっており、日本でも2035年にガソリン車の新車販売禁止を掲げるなど、電気自動車の普及は加速しています。
火力など発電時のCO2排出の問題も、再生可能エネルギーの促進で問題解決へ世界が足並みをそろえており、まだまだ市場は大きくなると期待されています。

まとめ

いかがでしたか?電力自由化が始まったことによって、毎月の電気料金が安くなったため、負担が軽くなったと感じている方はたくさんいらっしゃると思います。しかし、電力自由化が行われたのは電力を安くするためだけではなく、より多くの企業が参入することで企業の事業拡大につなげる目的もあります。
また、最近はSDGsの取り組みとして再生可能エネルギーを積極的に取り入れるという動きも行われており、より豊富な選択肢の中から選べるようになると言えます。電力自由化が導入された背景を理解しておけば、自分に合った電力会社を選択できるでしょう。