電気料金プランの種類①【特別高圧・高圧編】

②電気料金
2023.04.04

電気の契約は、大きく分けると契約電力により「特別高圧」「高圧」「低圧」の3つの区分に分けられます。特別高圧や高圧は、商業ビルや大きな工場など大規模な需要場所で契約する法人向け料金プランです。ただ、料金メニューは数が多く、一般的に公表されていない非公表プランもあるので、どのようなプランがありどのプランが自社に合っているのかわからない方も多いのではないでしょうか。

特別高圧は契約容量2,000kW以上のかなり大きな特殊な契約になりますので、この記事では一般的に契約数の多い高圧の料金プランを説明していきます。

 

料金プランの内容はどんなもの?

各地域の電力会社ごとにプラン名や料金単価は違いますが、大きく分けると、ビルや店舗などの需要家が契約する「業務用プラン」と、工場などの需要家が契約する「産業用プラン」の2種類で分かれています。例えば同じ「業務用プラン」でも、東京電力では「業務用電力」、関西電力では「高圧電力AS」などというプラン名がついています。単価や料金構成の違いによってそれぞれさまざまなプランが用意されています。基本料金と従量料金(使用料金)から構成されているのは全プラン共通ですが、従量料金の単価がプランにより季節や時間などによって変わります。以下に、主な従量料金構成のプランを4つ紹介します。

基本料金額は「基本料金単価(円/kW)×契約電力(kW)-力率修正額」で決まりますが、契約電力(kW)についても様々な決め方がありますので、別の記事にて詳しく説明します。

 

①夏季・その他季プラン

一番スタンダードな料金構成で、主に昼間に電気を多くご利用される需要家向けのプランです。従量料金単価は7・8・9月の使用分を「夏季」、夏季以外の月の使用分を「その他季」と分け、2種類の単価が設定されています。電気の需要が高まる夏季に電気の仕入価格が上がるため、その他季より夏季の単価が高く設定されています。

②季節別時間帯別プラン(TOU)

24時間店舗など、夜間にも電気の使用が多い需要家向けのプランです。「TOU」(略:TIME OF USE)とプラン名に付く事もあります。時間帯によって異なる単価を設けており、「重負荷時間(ピーク)」「昼間時間」「夜間時間」の3種類で従量料金が設定されています。

「重負荷時間(ピーク)」は、夏季(7月1日~9月30日)の平日(土曜日含む)日中の時間です。時間は電力会社により違いますが、電気の使用が増える「13:00~16:00」「10:00~17:00」の時間で設定されています。夏の昼間は電気の需要が増え仕入価格が高くなる時間なので、従量料金単価は一番高く設定されています。

「昼間時間」は、重負荷時間(ピーク)を除く平日(土曜日含む)8 : 00〜22 : 00の時間です。通年同じ単価の電力会社と、夏季とその他季でも単価を変えている電力会社とがあります。重負荷時間の次に高い単価が設定されています。

「夜間時間」は、重負荷時間および昼間時間以外の平日(土曜日含む)の時間と、休日(日祝)の終日になります。夜間は電気の需要が少ないので、一番安価な単価が設定されています。明細書には、それぞれの時間ごとに使った電力量が記載されています。

③ウィークエンドプラン(WE)

店舗・飲食店など、土曜日・日曜日・祝日にも電気の使用が多い需要家向けのプランです。「WE」(略:Week End)と表記されています。

以前は各地域で契約できましたが、今では一部の地域でしか新規申込みができないプランです。なので、現在ウィークエンドプランで契約をしていて別のプランや別の電力会社に切り替えをすると、ウィークエンドプランで再度契約できない事もありますので、プラン変更の際は注意が必要です。

平日と休日で従量料金単価が違い、平日の単価が高く、休日の単価が安く設定されています。また、平日・休日のなかでも夏季とその他季で別単価が設定されていることもあります。

④負荷率別プラン

現在新規受付が停止されていますが、負荷率(使用量)によって単価が変わる負荷率別プランというプランがあります。九州エリアは公表されていますが、北陸・関西エリアは非公表です。需要家によっては契約が可能です。

従量料金単価が夏季・その他季それぞれ1段階~4段階(九州エリアは1段階~5段階)で各々単価設定されており、合計8つ(九州エリアは10)の単価があります。使用量が増える(電気を使えば使う)ほど、従量料金単価が段階的に安くなっていくので、電気を多く使う需要家向けのプランです。

他のプランに比べて従量料金構成が特徴的で、2段階、3段階と単価が切り替わる使用量は少し複雑な計算が必要です。

契約電力【1kW】あたり使用量【100kWh】までは1段階目、【101~200kWh】は2段階目と、100kWh/kWごとに次の段階へ進むようになっています。1・2段階目の従量料金単価は、「夏季・その他季プラン」の従量料金単価より高く設定されているので、目安としてひと月400kWh/kW以上電気を使う方はメリットがありますが、それより使用量が低い需要家は逆に割高になる可能性があります。

また、新電力会社はこの負荷率別プランを用意していないことがほとんどです。負荷率別プランから電力会社の切替えをする時は、「夏季・その他季プラン」などへの変更も必要となりますので、単価だけでの比較ができません。

◢◤従量料金計算例◢◤

九州電力負荷率別契約

【契約内容】

  • 契約電力120kW
  • 当該月使用量50,000kWh(その他季)

【契約単価】

  • 1段階12.92円/kWh(1~12,000kWh)
  • 2段階11.90円/kWh(12,001kWh~24,000kWh)
  • 3段階11.25円/kWh(24,001~36,000kWh)
  • 4段階10.89円/kWh(36,001~48,000kWh)
  • 5段階10.77円/kWh(48,001kWh~)

【計算内容】
1段階:12.92円/kWh×12,000kWh=155,040円
2段階:11.90円/kWh×12,000 kWh=142,800円
3段階:11.25円/kWh×12,000 kWh=135,000円
4段階:10.89円/kWh×12,000 kWh=130,680円
5段階:10.77円/kWh× 2,000kWh= 21,540円
従量料金合計:585,060円

まとめ

今回さまざまなプランを紹介しましたが、電気代の基本的な構成は「基本料金+従量料金」です。基本料金の計算方法は全プラン共通なので、従量料金の単価・算定方法の違いによりプランを選択することになります。電気をよく使う季節・曜日・時間に合わせてプランを選ぶことで、節電効果も大きくすることができます。それぞれのプランの違いを理解して使用状況に合わせたプランを選ぶことが電気代削減への一歩となります。