電気はどのように作られている? 発電の種類と電気が送られてくるまで【前編】

①電気が送られてくるまで
2022.10.24

生活に欠かせないエネルギーとなった電気は、毎日莫大な量が発電されています。ではその電気はどのように発電されているのでしょうか。ここでは、発電の種類とそれぞれのメリット・デメリットを説明します。

 

発電の種類とメリット・デメリット

発電の種類は大きく分けるとこれまで日本の発電を支えてきた大規模の「水力」「火力」「原子力」と、これから発展が見込まれている「太陽光」や「風力」などの再生可能エネルギーに分けることができます。この前編では、現在主流の大規模発電について深堀していきます。

 

◆水力発電

水が流れるエネルギーを、水車を利用して電気エネルギーに変換する発電です。イメージしやすい発電方法のひとつではないでしょうか。日本の電気の普及を最初に支えた古くからある発電方法です。水力発電と言えば大きなダムを想像しますが、適した土地はほとんど開発が終わっており近年では中小規模の水力が建設されています。

発電方法としては、自然の河川の流れをそのまま利用した「水路式(流込式)」や、池に貯めた水を必要にあわせて放出して発電する「貯水式」「調整池式」と、電気に余力がある時間に上流の池に水を電力で揚水してくみあげておき電気の需要にあわせて下流へ水を流して発電する「揚水式」などがあります。

【メリット】

  • 安定供給・・・水資源に恵まれている日本の国産エネルギーであり、自然条件によらず一定量の電力安定的に供給が可能。
  • 長期稼働・・・一度発電所を作れば、その後数十年にわたり発電が可能。管理・維持費も安いためコストが少ない。
  • 低炭素・・・発電時のCO2排出量が非常に低く、再生可能エネルギーである太陽光や風力より低い。
  • 成熟した技術力・・・長い発電の歴史を通じて数多くの技術・ノウハウが蓄積されている。
  • エネルギー変換効率が高い・・・水力発電の変換効率は80%で、50%前後の火力や30%ほどの原子力と比べ断トツで効率が良い。

【デメリット】

  • 開発初期のリスクが大きい・・・開発前に河川状況の長期調査が必要。
  • 開発コストが上昇・・・建設に適した土地はほとんど開発がされており、未開発地点は規模の割に建設難易度が高く既存の水力発電所と比べるとコストが高い。
  • 降雨量に影響される・・・干ばつなどで降雨量が減ると、河川やダムの水が減り発電量が減る可能性がある。

◆火力発電

主に化石燃料を燃やして発生した熱エネルギーを、電気エネルギーに変換する発電です。高度経済成長の日本の発電を支え、現在でも日本全体の約70%の発電を担う重要な発電となっています。世界でも一番利用されています。

構造の違いでは、蒸気の膨張力を利用してタービンを回して発電する「汽力発電」と、ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた「コンバインド・サイクル発電」に分けられます。

燃やす燃料の違いもあります。現在主要な化石燃料は次のとおりです。

 

≪石炭≫

化石燃料を輸入に頼らざるを得ない日本において、安価で仕入れられる石炭は主要な燃料として発電のベースとなっています。全発電方法のなかで約3割の発電量を担い、日本の供給力を支える柱であることは間違いありません。しかしCO2排出量が多く、地球温暖化の影響への問題で非難が強まっています。

【メリット】

  • 資源量が豊富・・・世界の埋蔵量は10,350億トンと非常に多く、可採年数は130年以上。
  • 安価・・・世界中で広く採石が可能なため、他の化石燃料と比べ安価。
  • 輸入先の安全・・・主な輸入先はオーストラリア・アジアであり、中東への依存度がないので政情不安の影響も少ない。

【デメリット】

  • CO2排出量が多い・・・全発電方法の中で一番CO2排出量が多く、近年では世界的な脱炭素の流れが加速しており逆風が強まり続けている。

≪石油≫

日本に火力発電所が建設された当初は石油により発展を遂げ、1973年には全発電量の約7割が石油火力によるものでした。しかし、その後2度のオイルショックの影響により石油のシェアは減り続け2019年には6.8%にまで下がりました。発電コストも高く稼働率も低い為、今後さらに石油火力は廃止が進むことが見込まれます。

【メリット】

  • 高いエネルギー密度・・・少量の燃料で莫大なエネルギーを生み出すことができ、一度燃料を入れると1年間は連続運転が可能。
  • コストが低い・・・燃料が比較的安価で、電気代低価格化において有効。
  • CO2を排出しない・・・発電時に発生するCO2排出はなく、脱炭素へ大きく貢献できる。貯蔵が容易・・・石炭や後述するLNGよりも貯蔵が運搬が容易なため、緊急時の燃料として重宝されている。

【デメリット】

  • 中東依存度が高い・・・輸入先の約9割が中東地域なので、政情の影響を受けやすい。
  • 高価で不安定・・・化石燃料のなかで一番価格が高く、かつ原油価格が不安定なので発電コストも左右される。
  • CO2排出量が多い・・・火力発電はCO2が排出されるものですが、石炭に次いで2番目の多さ。

 

≪天然ガス(LNG)≫

オイルショックの影響を受けた石油に代わりシェアを伸ばしてきたのが天然ガスです。輸送効率を上げるために液体(液化天然ガス:LNG)に変えるため、LNG火力とも呼ばれます。日本の全発電量の約4割が天然ガス火力であり、2011年からの原発停止以降1番のシェアを占めています。出力の調整が比較的容易なため、出力が気候に左右される太陽光や風力のバックアップとしても重要な役割を持っています。

さらに化石燃料のなかではCO2排出量が少なく、また、大型発電の中では「3E+S」が優れています。そのため、天然ガスは今後も発電の柱のひとつとして役割を果たしていくことと思われます。

※「3E+S」とは、エネルギー政策に求められる”安定供給・経済性・環境・安全性”の略称です。

【メリット】

  • CO2排出量が少ない・・・化石燃料の中では一番CO2排出量が少ない。
  • 輸入先が分散されている・・・アジア、中東に分散されており、供給が安定している。

【デメリット】

  • 貯蔵が難しい・・・LNGは気体の天然ガスを-160度に冷却して液体にしているため、特殊なタンク・輸送船舶が必要。

 

◆原子力発電

仕組みは火力発電と同様で、水を加熱して水蒸気を起こし発電機につながったタービンを回して発電をします。火力発電との違いは水を加熱する熱源です。火力発電の化石燃料を燃やすボイラーが原子力発電の原子炉にあたり、この中でウランの原子の核分裂を人工的に起こし熱エネルギーを生み出しています。

ウラン燃料のエネルギーは非常に大きく、1cm角ほどの大きさの燃料で一般家庭の半年分以上の電気を発電することができます。また、発電時にCO2を排出しないため脱炭素にも有力なエネルギーです。しかし、ウラン燃料は放射性物質であるため慎重な管理が必要となります。

またコスト面においては、建設費用(イニシャルコスト)が高いですが燃料費(ランニングコスト)が安価なため、稼働率が高いほどコストパフォーマンスは高まります。ただ、2012年6月に改正原子炉等規制法が成立し、運転期間が原則40年(特別点検が通れば最長20年まで延長可能)と定められ、既存の原子力発電所は順次寿命を迎えていくこととなります。

2010年の原子力の発電量は全体の25%を占めていましたが、2011年の東北震災により次々と稼働が止まり、2014年には原子力が全基停止にまで至りました。そこから再稼働に向けた検査や地域住民への理解を得て2020年には全体の4%まで発電量が増えています。

エネルギー効率・コスト・脱炭素などにおいて非常に優れている原子力発電は今後も活用したい発電ではありますが、福島第一原発事故により世間の疑義が高まっているこの状況下において、さらなる再稼働や廃炉になる原発の代わりとなる新たな原発を推進するには、まだまだ数多くの課題が残されています。

【メリット】

  • 高いエネルギー密度・・・少量の燃料で莫大なエネルギーを生み出すことができ、一度燃料を入れると1年間は連続運転が可能。
  • コストが低い・・・燃料が比較的安価で、電気代低価格化において有効。
  • CO2を排出しない・・・発電時に発生するCO2排出はなく、脱炭素へ大きく貢献できる。

【デメリット】

  • 放射性物質・・・燃料が放射性物質であるため、厳密な計画と高いレベルでの管理運用が不可欠。
  • 機敏性に乏しい・・・一度発電を止めると再運転まで時間がかかり、さらに稼働後は一定の出力で運転する必要がある。

実際の発電コスト

2020年に、新たな発電設備を更地に建設・運転した際のkWh当たりのコストを、一定の前提で機械的に試算(既存の発電設備を運転するこすとではない)は下記になります。

火力の燃料は原油価格に左右されるため、高騰している現在はこの数値より高いコストがかかっている状況です。

これらの発電方法は、日本に電気が灯ってから高度経済成長期を支え、現在も欠かせない設備として役割を果たしていきます。それぞれのメリット・デメリットをうまく利用し、いかに安全・安定して低価格な電気を届けられるか、発電事業は常に進歩しています。今後、脱炭素やさらなる安定供給のために再生可能エネルギーもシェアを伸ばし日本の発電事業は大きく姿を変えようとしていますが、これらの設備のおかげで日本は発展を遂げたといっても過言ではないでしょう。

それでは次回、今後期待がされている再生可能エネルギーと呼ばれる発電方法の紹介をします。